首に違和感を感じたときに疑われる原因

首に違和感がある場合は、首だけでなく喉などにも原因があることがあります。首そのものの違和感だけでなく、嚥下時に耳下腺に張るような違和感があったり、口を大きく開けた際に首に痛みが生じるケースもあります。ここでは、首に違和感を感じたときに疑われる原因について、多方面から見ていくことにします。首の違和感は何でもないものが多いのですが、中には重篤な病気のサインの場合もあるので注意が必要です。
 

首に違和感を感じたときに疑われる原因

甲状腺がんの疑い

首の違和感の中で、重篤なものに甲状腺がんがあります。甲状腺がんは、直接命に係わることは少ないのですが、声がかすれたり嚥下しにくくなるなどの症状のほか、最悪の場合は命を脅かすこともあるので油断は禁物です。喉仏から胸骨の間に、硬いしこりがあって痛みがない場合は、甲状腺がんの可能性があります。また、首に硬いしこりがあったり、声がかすれていつまでも治らなかったり、水を飲むとむせるなどの症状がある場合も要注意です。

むせる症状は数日で収まることが多いのですが、収まったからといって安心とは言い切れません。このような症状に心当たりがあれば、耳鼻咽喉科にかかったほうがいいでしょう。しかし、これらの症状から甲状腺がんが見つかるのは、ある程度進行してからなので、初期の甲状腺がんを発見するには、超音波検査を行う必要があります。
 

喉頭がんの可能性

咽頭がんになると、声が出にくくなったり、嚥下や呼吸が正常にできなくなります。咽頭がんにはいくつかの種類がありますが、声門がんは声が出にくくなるので比較的初期に発見されやすいがんです。その他の喉頭がんには、初期症状がないので発見が遅れることもあります。声がかすれたり嚥下しにくかったり、息苦しさや首にしこりを感じたら、喉頭がんを疑いましょう。

耳鼻咽喉科に行けば、本格的な検査ををしてくれるので、喉頭がんかどうかすぐにわかります。喉頭鏡や喉頭ファイバースコープを使って、腫瘍ができているかどうかをチェックし、細胞を採取して生体検査をしたり、超音波検査、CT、MRIなどを使って総合的に診断してもらえます。喉頭がんの初期症状は風邪に似ていますが、1カ月以上症状が続くようであれば、風邪ではないので医師にかかることをおすすめします。
 

頚部嚢胞の可能性

嚢胞とは粘液が溜まった袋状の塊で、頸部嚢胞は首にできた嚢胞のことです。頸部嚢胞にはいろんな種類がありますが、どれも痛みがないのが特徴です。嚢胞の中には粘液が溜まっているので、感染を起こしやすい傾向があります。感染すると、患部が赤く腫れたり疼くような痛みが生じます。

さらに、感染がひどくなると嚢胞が破れて、内容物が流れ出すこともあるので注意が必要です。こうなる前に治療するのが望ましいので、早めに病院に行ったほうがいいでしょう。特に症状が出なければ、そのまま放置してもかまいませんが、感染がひどくなるようなら手術する必要があります。
 

リンパ節炎の可能性

細菌や雑菌が入ったことにより、リンパ節に炎症が起こる症状です。リンパ節は、体を細菌の侵入から守るために体のあちこちにあります。リンパ節では、細菌やウイルスの侵入を食い止めたり、がん細胞を阻止する働きをします。身近な例では、風邪を引いたときなどにリンパ節が腫れることがありますが、あれは風邪のウイルスを、リンパ節で白血球やリンパ球などが攻撃しているからなのです。

リンパ節の中で、顎下、耳下腺、後頭、腋窩などにあるものが、首の違和感を生じさせます。ちなみに、リンパ節は鼠径部にもありますが、こちらは首の違和感とは関係ありません。リンパ節が炎症を起こすと、赤く腫れたり痛みが生じます。場合によっては、発熱して風邪のような症状になることもあります。

リンパ節では、白血球やリンパ球がウイルスや細菌を除去しますが、除去しきれないと、リンパ節でウイルスや細菌が増殖することになります。この場合は、病院で原因菌を調べて殺菌しなければなりません。また、リンパ節が腫れているのに痛みがない場合は、がんの転移や悪性リンパ腫、結核などの病気の可能性もあります。
 

バセドウ病の可能性

バセドウ病は甲状腺機能亢進症の1つで、グレイヴス病と呼ばれることもあります。バセドウ病は、ウイルスなどの外的から身を守るために備わった免疫機構が、自分の体を攻撃するものです。具体的には、免疫機構が「甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体」を外敵の侵入と誤認して、攻撃するために起こる病気です。

その結果、甲状腺ホルモンが多量に分泌されてしまうために、体にいろんな症状が出てしまいます。いくら食べても太らないのがバセドウ病の特徴の1つで、眼球突出、頻脈などが現れます。このほか、動悸、息切れ、多汗、食欲増進、痩せ、便通異常、倦怠感などを引き起こすこともあります。

また、バセドウ病は人体に精神的な影響を与えることもあり、不安、イライラ、集中力の低下などの症状が見られる場合も、少なくありません。バセドウ病になると新陳代謝が活発になるため、心臓に大きな負担がかかることもあるので注意が必要です。バセドウ病のように、免疫機構の誤動作により、自分自身を攻撃してしまう症状は他にもあり、「自己免疫疾患」と呼ばれます。

現在のところ、自己免疫疾患が起こるメカニズムはハッキリしていませんが、過労やストレスが原因になったり、女性の場合は妊娠や出産がきっかけで発症することもあります。バセドウ病は、女性の発症率が男性の3倍~5倍もあり、20代~30代の若い世代に多い病気です。
 

亜急性甲状腺炎の可能性

甲状腺が炎症を起こす病気です。ある程度の期間同じ症状が続きますが、慢性化することはありません。甲状腺に炎症が起こると組織が破壊され、甲状腺ホルモンの分泌量が増えます。見た目には風邪のような症状が続き、甲状腺が腫れたり痛みを感じたりします。

初期のうちは嚥下時に痛みを感じる程度ですが、症状が悪化すると、耳や胸など広範囲に痛みを生じるようになります。1カ月~2カ月くらいで改善することが多いのですが、場合によっては長期にわたって、甲状腺の異常が続くこともあるので注意が必要です。首に痛みや発熱を起こすのが特徴で、甲状腺ホルモンの過剰分泌により、甲状腺中毒症を引き起こし、甲状腺クリーゼになって高熱、頻脈、意識障害を起こす場合もあります。

非ステロイド抗炎症薬や、副腎皮質ステロイドを投与して治療しますが、症状が重い場合は、ベータ遮断薬という交感神経遮断薬を投与します。女性の発症率が男性の10倍もあり、特に40代前後に集中して発症する傾向があります。
 

習慣性扁桃炎の可能性

慢性扁桃炎の1つで、高熱、咽頭痛、嚥下痛などの症状があります。これらの症状が1年に4回以上、2年に5~6回以上あれば、習慣性扁桃炎と診断されます。3~4歳の小児に多く発症し、5~6歳児にも多い病気ですが、10代になるとほとんど治癒するものの、稀に成人しても治らないケースもあるようです。

習慣性扁桃炎はA群β溶連菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌などが原因で、38度以上の高熱や咽頭痛、悪寒、関節痛、首のリンパ節の腫れ、嚥下痛などの症状が特徴です。子供に多い病気ですが、同じ症状を何度も繰り返す場合は、扁桃腺を摘出して治癒します。
 

まとめ

首に違和感がある場合は、首だけでなく、喉などにも原因があるケースが多いようです。首の違和感は、甲状腺がんや喉頭がんの可能性もあり、頚部嚢胞やリンパ節炎によって違和感が生じる場合もあります。また、バセドウ病や亜急性甲状腺炎、習慣性扁桃炎などが原因となって、首に違和感が生じることもあります。